そこの君、俺とトロピカろうZE☆
振り返ると1年通して面白かったとは思いますが、
終始物足りない感がありました。
特別面白いという突出した回がないだけで
つまらないや面白くないというネガティブな感情はありません。
ただ、全体を通して見るとその突出した部分が無い為に
イマイチ感や気になる点が目立ったような感じです。
1番の理由が、敵サイドが魅力的、かつ脅威ではなかったので、
話の起伏に乏しかったのが原因かと思いました。
人のやる気を奪うという行為に対して
プリキュアも敵キャラもそこまで大きく取り上げる事がなかったので
元々やる気がないという事もあいまって戦闘シーンが常に低空飛行でした。*1
チョンギーレがヤラネーダにされた時も
他の2人がそこまで焦る事も驚く事もなかったので、
元々彼女らのやる気がないという点を鑑みても
これまで見せていた家族的な部分は何だったんだという気持ちが強かったです。
エルダは多少まなつとの繋がりがありましたがヌメリンは皆無だったので
正直ヌメリンを省いて他に尺を当てた方が良かったレベルでした。
また、ラスボスポジションはバトラーになるんだろうなと思っていましたが、
その流れも強引、かつありきたりだったので盛り上がりませんでした。
バトラーはクライマックスに至るまでキャラとして非常に弱かったので
ラスボスにするのならもう少しそのキャラの内面や物語展開が欲しかったです。
後述する戦闘シーンの問題から、
一番盛り上がりやすい最終決戦が一番置いてけぼりを喰らいました。
この辺りはもう少し物語の展開というか
それぞれのキャラクターをもう少し考えて欲しかったですね。
続いて、物語の中心が割と早い段階から完全にローラに移行しますが、
ローラの人間になりたいという気持ちが然程見えないまま
即人間になってしまった事、
人間になった後も人魚に戻れるという事で
それぞれの立ち位置の特色が完全に消えた事が非常にマイナスだったと思います。
個人的に、人魚というアイデンティティが
後半完全になくなったに等しかったのが非常に勿体なかったです。
例えば、ローラの人間を意識するという話も
他のキャラともっと絡んで展開していくと思ってたんですけど、
絡んだキャラと言えばみのりくらいなので
ラストパートで主人公とはいえまなつだけが
特別ローラとの絆を意識するのは少々弱いと思いました。
まなつとの繋がりは
・人間世界で初めて出会った相手=人魚と人間の関係性と人魚の掟
・学校以外の日常生活をまなつと一緒に過ごした
・キュアオアシスと魔女の過去
・物語としてまなつが主人公
という要素があるだけで視聴者側も感情移入しやすくはなっていますが、
ローラ自身が過ごしてきた1年の物語の展開として見ると
特別ドラマがあった訳ではないので、
この部分がもっと掘り起こされていたら
ローラが人間世界に残るか人魚の世界に戻るかの葛藤のドラマが
もっと際立ったと思います。
これは、ローラが人間を意識する展開になるあたりからずっと気になっていたので
物語が進むにつれてその部分が解消されていくのかと思いきや、
ローラの他キャラとの絡みは想像以上に展開されなかったので
そのまま突っ走っていったので置いてけぼりを喰らった感じでした。
ローラは元々見えていた高飛車というか自信たっぷりの面が
人間になって以降は少々鳴りを潜めたのも物足りなかったですし、
ローラの内面の話の尺はさんご、みのり、あすかに取られた感じです。
思えば5人というメインキャラの数は多いとも思いますが、
それぞれのキャラクターは皆魅力的だったので
話の尺の振り分けがあまり上手くいってなかった感じですね。
例えばあすかのテニス部のくだりなんかも卒業後の進路に繋げる為とはいえ
少々引き延ばし過ぎとも思いました。
視聴者が物語を誰を中心として見るかを意識する際に
作り手側がもう少し割り振りを考えて欲しかったかなと思います。
また、最終決戦での超作画が話題になっていましたが、
僕は最終決戦にいきなりこんな事されても正直引いちゃいます。
前述の敵の魅力の無さもあってトロプリは全体通して戦闘シーンが地味だったので
最後だけ動いたりかっこいいシーンを流されても
「じゃあ最初からこれでやってくれよ」と思わずにはいられませんでした。
挙句、このフラミンゴのシーンは止め絵で動かないので
戦闘シーンを魅せたいならもっと違う方法を模索して欲しかったかな。
ここ数年のプリキュアの戦闘シーンって
作品を重ねれば重ねるほどあまり印象に残らなくなっているので
長年のファンとしてはもう少しその点も頑張って欲しいところですね。
とはいえ、4クール通して見ると総じて安定はしていたと思います。
プリキュアらしい話はしっかりありましたし、
後回しの魔女の後回しにした結果とまなつ達の今一番やりたい事をやるという意識が
相対する立ち位置にあったのは面白い展開だと思いました。
まぁ僕の今作の最推しだったくるるん回が最後までなかったのは許せませんがね!()
まとめます。
総じて手堅い作りでしたが安定し過ぎで突出した部分がなかったという印象です。
世情を鑑みてか雰囲気が終始明るいので楽しい気持ちにはなるのですが、
話の波や緊迫感といった点がほぼないので見るにつれて飽きが来やすいと思います。
特にプリキュアシリーズは4クールとただでさえダレやすいので
もう少し話の強弱というか締まりが欲しかったかな。
本作は楽しい事や明るいといったポジティブな要素に包まれている作品なので
あまりシリアスを求めるのもどうかとは思いますが、
その部分が完全にないというのも考え物だなと思いました。
ただ、逆を言えばどの回も安定して面白く、キャラクターの皆が皆優しいので、
物語を重く受け止めたくない人や
楽な気持ちで作品に触れたいという方にはお勧めです。
作品を見て負担を感じる事はおそらくないので
柔らかい癒しが欲しい人は是非ご覧ください。
個人的オススメ回はこれといった回はありませんが、
さんごは全編通して成長と魅力が一番描かれていた印象なので
さんご回はどれもオススメです。
あと、変身シーンがどちゃくそ可愛いので毎話見ていたかったです()
未視聴の人は変身シーンだけでも見ろ(命令)
*1:相手が惰性で行っている事をこちら側が惰性で見てる感じ。