大人になってもいつまでも。
俺は好き。
大人になり散り散りとなった彼女達が再会し
皆でキャンプ場作りを始めるという、
テレビ本編の流れを汲みつつも少々変化球気味な内容となっています。
それまで年単位で会っていなかった皆が
鶴の一声で急にこれまでのように集まって
普段は仕事をしながらキャンプ場作りも行うというのは
無理があるのも確かにわかりますが、
これまでのキャンプ経験を活かして手探りながらも自分達で
一つの目標に向かって進みだすのはワクワクするものがありました。
また、会おうと思えば集まれるのに
社会人になって中々集まらないというのは
妙にリアリティありましたねw
ゆるキャンにしては重めの雰囲気がありましたが、
展開的に悪人がいないのはゆるキャンらしくて良かったです。
ただ、このどうしようもない社会の構造の前に無力感を味わうのは
ゆるキャンと言う作風的にどうなんだろうかというのも感じました。
ある程度のストーリー運びをするうえでは仕方ないとも思いましたが、
要所要所で少々強引な展開は目につきましたね。
まとめます。
賛否両論があるのはわかるけど・・・
視聴者の、アニメの中に実際の現実をどこまで受け入れられるかで
評価が変わる作品だと思います。
なんか、本作の感想で
「県の仕事を仲間内でやるのか」とか、
「社会人になったからと言って財力あり過ぎ」とか、
急にリアル感を突っ込む人が多い印象ですが、
そんな事言ったらテレビ版からそうなんですけどねぇ。
身も蓋もない事を言うと、そもそもアニメですし(汗)
本作は彼女達が大人になった=視聴者の立場に近くなった為
自分と比べて彼女達の有意義な人生や
充実した仲間との関係が鼻に付くんだと思います。*1
彼女達が学生だった頃は可愛さや初々しさが勝っていましたが、
彼女達が大人になった結果自分自身と重ねやすくなり
無意識のうちに嫉妬と違和感のフィルターを通して
視聴してしまったからではないでしょうか。
確かに、周りが良く言う、
久々にみんなが集まって久々にグルキャンして
仲間内の絆を確かめ合うという内容が見たかったというのもわかります。*2
ただ、それを劇場で2000円近く払って2時間ほどの尺で見たいかと言われれば
僕は素直に首を縦に振りにくいです。
むしろ、ストーリー性が然程感じられなかったテレビ本編に比べて
1本のストーリーがしっかり敷かれた本作は見ていて楽しかったし
話に没入させる力があったと思いました。
そういう意味ではゆるキャンでそのような物語が見れると思っていなかったので
意表を突かれたとも言えますね。
彼女達は確かに大人になりましたが、
自分達は周りの大人達に支えられている事を感じたり、
社会人になっても実際にやれる事とやれない事のギャップを味わったりと、
実際には大人を感じつつも大人になっている途中という感じで
そこまでテレビ版と剥離している印象はなかったです。
逆に、年月が経っても変わらない友情や
歳を重ねる上での切なさと希望といったアクセントが
ドストレートではなくほのかなニュアンスとして伝わってきて
僕は素直に見る事が出来ました。
なんていうか、2次元作品にリアリティを求めるなら
負の面だけでなくそういったプラスの部分も評価して欲しいですよね。
また、大人になる事で自分達がキャンプを通して
楽しさを他人に伝える立場になるというのも
彼女達が成長したという証だし、
ある意味彼女達にしか出来ない事なので
僕は本作の内容で良かったと思います。
テレビ版を追った方で未視聴の方は
周りの評価を気にせず是非見て欲しい作品でした。
個人的オススメシーンはあおいの学校の閉校式後のシーンでしょうか。
空気感というか余韻が凄かったし、その後の千明との絡みも良かったです。
また、最後のリンとおじいちゃんの会話で
おじいちゃんのあの台詞で締めたのは非常に良かったと思います。