初日に見て来ました。
印象としてはカッコ良かった作品でした。
とにもかくにもバイクを駆る仮面ライダーが非常にカッコいい。
そもそも仮面ライダーは今作のように
人知れず平和の為に戦うヒーローなんだよなという事を
改めて感じる事が出来ましたね。
庵野監督お得意の
オリジナルのリスペクトシーンや設定の活かし方が光ります。
特に蜘蛛オーグ戦は当時のシーンを今作り直すと
あれだけカッコ良くなるんだなと技術の進歩を感じると共に、
当時の元々のセンスは高かったんだと思い知らされました。
元のはどうしてもシュールさが目立っていたのでｗ
登場人物は少な目で見やすかったです。
本郷とルリ子以外の登場シーンは少ないですが
皆印象に残っています。
ただ、本郷は今を意識したのか少々優男気味で
信念も含め力強さはあまり感じませんでした。
周りから優し過ぎると言われまくっていますが
そう言われるほどの説得力もなかったです。
一応覚悟なんかはちゃんとしていたので普通に見れはしましたが
もうちょっと主張と言うか意志が前に出ていた方が
僕は好みでしたね。
怪人であるオーグは有名どころが数体出てきますが、
短い上映時間で数体のオーグが出ているので
どうしても展開が早く感じたり
そのせいで主要キャラの積み重ねが薄く感じてしまったりと
弊害も感じました。
特に2号である一文字は
急に出てきて急に改心して急に主要キャラになるという
そのしわ寄せをもろに受けたキャラでした。
本作の中では唯一とも言える性格だったので非常に勿体なかったですね。
あのラストにするのであれば尚更一文字の描写が欲しかったです。
また、設定や説明も含めて色々描写しなければいけないので
台詞が多くなるのは仕方ないんですが、
どうも一番肝心の蝶オーグの話はよくわからんかったです（爆）
正直蝶オーグとの最終決戦は
最初蝶オーグが滅茶苦茶強かったのに
スタミナが無さ過ぎて急にバテバテになったり
これまで徒手空拳でやりあっていたのに
急に日大タックルの応酬になったり
ルリ子とのマスク越しでの邂逅シーンが長くてダレたりと
見ていて色々としんどかったです。
本作は役者の台詞が全体的に聞き取りにくく
置いてきぼりを喰らう事がしばしばありました。
本作の暗い作風に合わせたのカモしれませんが、
そもそも何言ってるのか聞き取れないというのは
作品として致命的だと思います。
さらに、戦闘シーンの落差が非常に激しくて、
それこそ序盤の蜘蛛オーグ戦は非常に見応えがあったんですが、
それ以降はどんどん右肩下がりでした。
VS蜂オーグ戦は折角の得物での応酬だったのに早すぎてよくわからず、
1号VS2号はCGが浮いていてアニメのドラゴンボールのような描写が続き
非常にチープさを感じました。
また、VSショッカーライダー戦も
折角ダブルライダーとなったのに9割9分9里バイク戦で
スピードに任せた勢いのままあっさり終了してしまいました。
ここはバイク戦として魅せるならもっと魅せ方を考えて欲しかったですね。
ショッカーライダーの強さが微塵も見て取れなかったので
シーンの盛り上がり具合に反して見応え0でした。
そもそも本作は戦闘シーンの大半が周りが暗すぎて
何をしているのか終始よくわからなかったです。
挙句スピード感だけは出しているので尚更わからない。
折角の仮面ライダーのスタイリッシュさやオーグのデザインの良さが
全く活かされていなかったのは非常に残念です。
そして、BGMの問題もシン・ウルトラマンの時と全く一緒で
オリジナルが流れているシーンは浮いていました。
菊池俊輔氏のBGMって良い意味で印象的で
その作品を象徴する出来のものが多く
当時の作風にはマッチしていましたが、
本作ではそのミスマッチ感が凄くて
流れているシーンでは笑ってしまいましたｗ
本作を見る前から覚悟はしていましたが、
シン・ウルトラマンの時よりも悪目立ちしていて
案の定というよりも予想通り過ぎて少々残念な気持ちです。
そしてこいつは結局何がしたかったのか・・・
結末としては悪くないと思いますが、
物語としてはもうちょっとちゃんと締めて欲しかったです。
庵野作品を見るうえでどうしても絡んでくる要素ですが、
続編を作らないのであれば
もう変な匂わせだけは入れないで欲しい。
まとめます。
楽しめはしたけど気になる点も多い。
仮面ライダーが本来持っている孤高なヒーロー像を描いています。
初代の仮面ライダーの設定を盛り込んで現代風に作り上げている本作は
まさしく「シン」という名に相応しいでしょう。
ただ、手放しで褒められる訳ではなく、
少なくとも仮面ライダーを知らない層にはむしろオススメ出来ないです。
庵野作品の他のシンシリーズと同じく
ある程度オリジナルの設定を知っているオタク向けの作品だと思います。
僕はレビューを書く時
なるべく他の作品と比較しないように書くようにしていますが、
本作を同じ監督同じシリーズとして見るならば、
シン・ウルトラマンで感じた良い悪い点が
今回もそのまんま反映されたなという感じでした。
元々のエピソードとキャラクターありきで作られていて
物語もそれらありきで展開しているので、
主要キャラの積み重ねという意味では
どうしても低く感じてしまいました。*1
とはいえ話題性やライブ感も含め
映画館で見てこそだとは思うので
オタク気質で未視聴の方はオススメな作品です。
個人的オススメシーンはVS蜘蛛オーグ戦。
ぶっちゃけこの作品の瞬間最大風速はここでした。
*1:一文字の件はまさにこれが原因。
