喰うか喰われるか。
僕は好き。
仮面ライダーが本来持っているネタに
ダークな雰囲気と重いアクションを取り入れた内容となっています。
平成ライダーで確立されつつあった要素もふまえながら
描きたいテーマを見せてくれているので各シーンわかりやすく
全編通して楽しめました。
最終回の遥とマモルが生き残った虫達と去っていくシーンは、
アマゾンという人から外れた異形のモノ達は
もう二度と人間達とは相いれる事が出来ないという悲しみと切なさを感じ取れて
凄くいいシーンだと思いました。
子供向け作品はグッドエンドに向けて物語が進みがちですが、
グッドになるという事は別の誰かがバッドになるという事を
今作では如実に描いていたと思います。
(子供向け作品でバッドエンドばかりだとアレですし本作は大人向けですが・・・)
今作で出てくるライダーは全部で3人ですが、
昭和のアマゾンを元にカッコよくデザインされていると思います。
僕は思い入れ補正で未視聴の時はアルファが好きだったんですが
見終わった後はオメガが好きになりました。
また、アクションも重々しく派手になっていたので終始見応えがありました。
浮遊するシーンだけちょっと違和感でしたが長回しのシーンも多くて
全シーン通して楽しめましたね。
見ていて気になった点ですが、
駆除班の面々があそこまでメインポジションになるのであれば
最初から意識して見てれば良かったと思うと同時に、
もう少し見やすくフューチャーしてくれてた方が良かったかなと思いました。
(僕は遥と仁を主人公として見てたので)
特に最初のトンボアマゾンの件はシーンだけ見れば悲劇的なんですけど、
感情移入する間もなくあの流れになってしまったので
その後のシグマのシーンが少し軽く見えてしまいました。
また、主人公の遥ですが、
彼が自分の意志を主張する主張するシーンはカッコよかったんですが、
駆除班に入った後によく見られた
他の虫を前に駆除する判断が鈍るシーンは個人的にはイマイチで、
あれだけ大見得切ったのに結局殺らんのかーいと少し冷めながら見てました。
「殺すモノは殺して守りたいモノは守る」という、
非常にシンプルな理由が彼の原動力になっていたハズなのに
結局普通の人間チックな考えに至っていたのにはちょっと悶々としてましたね。
(その優しさも彼の未魅力なんでしょうけど)
特に遥の正体が最終話で明かされますが、
アマゾン細胞が元々のベースの割には
各シーンを振り返ると人間に寄せ過ぎだった気がします。
あと美月とのシーンはどのシーンももう少ししっかり描いて欲しかった気がします。
おそらく美月が今作のヒロインポジションなんでしょうけど
彼女のシーンは全編持て余してた印象です。
まとめます。
「喰うか喰われるか」というテーマは別段珍しくもないものですが、
喰う対象が人間というカニバリズムという倫理に触れやすい内容を、
演出出来る限界がある中で描けるところまでを
このご時世に頑張ってやってくれたなという印象です。
むしろ仮面ライダーって主人公は本来敵側と同じ状態であるので
本来は背負う悲しみといったモノを描いて欲しいと思っている人間なんですが、
今作ではそういった点を久々に感じ取れた作品でした。
僕は丁度平成ライダーシリーズに対して飽きが来ていたので
自分にとってはいいスパイスになったかなと感じました。
たまにはこういう作品に触れるのもいいですね。
終始ダークな空気で物語が進むので通しで見るには人を選びますが、
普通にドラマ作品としても割と楽しめると思うのでお勧めです。
個人的オススメシーンは6話。
遥の決意と長回しの戦闘シーン、駆除班に入る遥等、見応え満載でした。