仮面ライダーBLACK SUN 見ました。

 

 

信じる奴が正義。

 

 

差別や宗教、迫害や暴力といった人が目を背けたがる要素を

フィクションである怪人の存在と絡ませて描いていました。

「怪人」という明らかに得体のしれない存在のおかげで

視聴者側への説得力は大いに感じ取れましたね。

 

 

 

本作は現代と過去の話が行ったり来たりしますが、

登場人物が少ないのでさほど混乱せずに見れました。

ただ、全編通して見ると、

光太郎よりは信彦の方がわかりやすく描かれているのですが、

その割に最終回の信彦のあの心情吐露は急に感じてしまい

あそこまで時間を割いた割には終盤のまとめ方が少々雑に感じてしまいました。

現代編の動きに加えて過去編の話もある為に

キャラクターの説得力が回を増す毎に増してくるので

その積み重ねに相応しいラストの話運びをして欲しかったかな。

 

 

逆に光太郎は信彦に比べると少々主張が少なく

全編通してイマイチ何がしたかったのかわかりかねる部分がありました。

特にゆかりやあおいといったヒロイン勢との絡みが多かったのに

彼女達への特別な感情を何故持っていたのかとか

そもそもどういう感情だったのか等よくわからなかったので

もうちょい上手く扱って欲しかったですね。

特に終盤あの展開にするのならあおいに対してはもっと描写が欲しかったです。

 

また、光太郎は根本的な悪ポジションである政治家達と絡まないので

行動の説得力が欠けたのもマイナスでした。*1

西島秀俊氏の演技力のおかげで存在感は凄かったですが、

見終わった後に冷静になって考えると結構「?」な点も多かったです。

 

 

この辺りは全てに対してわかりやすい答えが欲しかった訳ではなくて、

もう少し描写自体があると良かったなという意味です。

画面を見て勿論感じ取れはしますが、

キャラクターの動きに説得力を持たせる意味でも欲しかったですね。*2

 

 

 

怪人に関しては、造形自体は良かったですが

人間と同じくらい怪人が普通に生きている世の中なので

全体図が映らない怪人は頭と手のみ露出しているので

少々仮装感が否めなかったです。

これは後半が特に顕著で、

基本的に怪人体とライダーがさほど戦わず

クモやアネモネのような全体図の映る怪人の方が少ないので

後半に向かえば向かうほどゴルゴム勢の仮装感が半端なかったです。

この辺りはもう少し何とかならなんかったのかなーって感じです。

3神官すら全体図が映らなかったのは拍子抜けでした。

 

 

挙句、この演出の中逆に顔だけが演者のビルゲニアは悪目立ちして酷かった。

元の作品に合わせたにしてももうちょっと料理出来たハズです。

ビルゲニアはポジション的に非常に良いキャラだったので

デザインが違うだけでももっとこちら側に訴えかけてくる力が違ったハズ。

 

 

 

本作のバイクシーンはかなり浮いていました。

というより、他の要素があそこまで凝っているのに

バイクシーンだけあそこまで雑だったのが謎です。

バイクに乗る頻度が減っているとはいえ

仮面ライダーといえばバイクを連想するでしょ。

せめて髪の毛なびかせるくらい出来んかったんか・・・

 

 

 

演者は皆個性的で良かったです。

特にルー大柴氏は非常に印象に残るキャラでしたね。

ただ、演技が気になる人もちらほら。

味のあるキャラと思う事にして見ていましたが、

気になる人は最後まで気になってしまいました。

 

 

 

まとめます。

 

 

面白かったけどもっと出来たように思う。

 

 

 

作品自体は普通に楽しめました。

全10話ですが各話のボリュームもあり作品に没入させる力があります。

 

ただ、最後まで見終わった時の心に残るツッカエ感は強かったです。

特に、作品としての答え的なモノはもうちょっと出して欲しかったというか、

本作でのあの終わり方は少々消化不良と言うか・・・

あおい(と、ノミと鯨)があの終わり方をしたのは100歩譲って理解したとしても

あの後の事を考えると多少の状況整理のあるシーンや

キャラクターの心情吐露が欲しかったかな。

 

 

※この部分はネタバレなのでスクロールするか

パソコンから視聴の人は脚注を当てて下さい。*3

 

 

 

オリジナルの仮面ライダーBLACKを踏襲した内容になっていますが、

現代風にあれだけリブートしたのなら

もっと○○して欲しかったとか、もっと○○出来たんじゃないかという

要求が強くなってしまいますね。

最終回のOP再現なんかもちょっと浮いていましたし。

原曲を使えるのならEDこそ使うべきでしょ。

作風を考えると絶対そっちの方が良かったと思います。

 

 

 

報われず儚い印象が残るので視聴には人を選ぶと思います。

とはいえ作品に没入させる力は間違いなく持っていて、

日本の特撮番組はこういう路線も描けるんだという意味では

話題にあげる事の出来る作品だと思います。

興味が出た方は是非アマゾンプライム会員になって視聴してみて下さい。

 

 

個人的オススメは2話。

アネモネ怪人が変身した時がこの作品の中で一番瞬間最大風速強かった気がします。

 

*1:ゴルゴムに乗り込んだ時ルー総理と対峙すると思ってたら巡り合いすらしなかったのは少々拍子抜けでした。

*2:特に光太郎。

*3:個人的にはラストのあの終わり方は納得いってないです。

戦いが続くような終わり方じゃなくて、

現創生王が死んだ後怪人達の本当の意味での未来はどうなるのか、

官房長官が総理大臣になった後の話の展開、

ビシュム=ゴルゴムの今後の行く末、

あおい達のこれからの戦いと少年兵士育成の意味等、

消化不良で終わった事だらけなので、

せめてそれらの何かが示唆される未来が

ラストで提示されていると良かったかなーって感じです。