そうそうたる面子の元に生まれた作品。
普通。
金星を舞台に戦争に巻き込まれる若者を描いた作品。
SFモノなんですが、序盤に舞台説明が結構しっかりされていて
力関係や人間関係が割かしわかりやすかったのは良かったですね。
いつ見ても1輪のバイクは運転しにくそうw
主要登場人物が年齢相応のスレた若者達なんですが、
主人公を中心に自己中心的な考えの奴らが多いので
理解は出来ても共感はし辛いというか・・・
特に主人公はチームの中で一番実力があるという感じとはいえ
主張も少なく自分の周りのモノ全てにキレ散らかしているので
もうちょっとやり方というか感情の伝え方を考えた方が良い気がしますw
主人公は声優が当時のアイドルで
他のベテラン勢に比べるとどうしても演技もイマイチに聞こえるので
余計にフラストレーションがたまりがちでした。
また、ヒロイン勢は皆扱いが微妙でした。
僕は本作を始めて見た時画像のスゥがヒロインと思っていたんですが、
彼女はそもそも原作に登場しないオリキャラと知った時は
オリキャラが一番目立っていた事に少々驚きました。
ラストでヒロと和解するのも少々急でしたし(この辺りは後述します)
他のヒロイン枠であるミランダは
一番主人公の近くにいたのに物語中盤で中途半端に退場、
マギーはそもそも一般人なので
戦争に駆り出されるまでの登場のみと、どちらも少々消化不良でした。
この2人は主人公のヒロとはいい距離感のキャラクターだったので
もうちょっと上手く使って欲しかったですね。
本作は戦争モノの作品なので
どこかでガス抜き出来る要素が欲しかった気がします。
マギーとは一線を超えそうなシーンがありましたが
まだまだ物語も序盤だったので。
軍に入ってからはカーツの気まぐれや対応があったとはいえ
軍が思ったよりも結構アバウトな体制だったのはちょっと拍子抜けでした。
あんなに簡単に民間人をキャッチ&リリースしていいの?w
カーツは池田秀一氏の演技で有無を言わさない説得力がありましたが、
実力自体は大した事ない印象でその点でもちょっと肩透かしでした。
敵の士官であるドナーも実際には大した事なくて
スゥに対して大人の駆け引きをしたと思いきや内心心臓バックバクだったり
戦場でヒロに対して激昂して我を失ったりと、
それまでの冷静沈着な部分はなんだったんだというw
ドナーは塩沢兼人氏が演じていたので尚更そう思えました。
また、キャラデザインに関しては安彦良和氏が手掛けているので
おそらく皆さんの見た事のあるキャラが多い事でしょう。
某機動戦士を見ているとツッコミ所満載です。
作画やマシン描写なんかは丁寧で見応えがありました。
劇場版という事を差し引いてもレベルは高水準だと思います。
ただ、戦車に対してバイクなので絵面は少々物足りなく感じるカモしれません。
ロボット的なSF要素はないのでちょっと地味さが目立つ気はしました。
また、色々言われてますが、
ラストの実写パートは僕はそこまで変に思いませんでした。
実験的演出として見ても悪くないんじゃないですかね。
まとめます。
普通。
作中独特の荒廃的な雰囲気が充分に醸し出されていて
そこに生きる若者の葛藤が描かれていますが、
少々要素が詰め込まれ過ぎていてどれも消化不良に感じがちでした。
作り手の描きたい事はわかるけどちょっと分散しちゃってる印象です。
80年代作品特有の空気感と言いますか、
クリエイター達の実力や演者の表現なんかが凝縮されているので
見どころはしっかりあるんですが、
尺への積み込み感が勝ってしまっている感じですね。
個人的にはもうちょい軍=大人の力強さがあっても良かった気がします。
1本の映画として見るのなら然程気にならない程度と思いますが、
大体この手の作品を見る人は他にも似たような作品を視聴しているハズなので
それらに比べると地味さや気になる点が出てきてしまいがちだと思います。
本作は原作漫画もある作品なので
原作と比べるとまた違った文句が出てきそうではありますね。
当時以来数年間世に出る事がなかった本作ですが、
一定の面白さはしっかり確保されているので
興味が出た方は是非視聴してみて下さい。
個人的オススメシーン、というよりも、
本作は主題歌が非常に良かったです。
挿入歌としても使われたOPの灼熱のサーキットの歌詞のマッチ具合、
EDの明日への風は余韻たっぷりで印象的でした。