パラレルワールドシアター見ました。

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青春に呑まれた者達よ。

 

 

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当時の劇団員達が各々の想いを胸にもう一度集結し

復活公演に向けて稽古をしていくという内容なんですが、

当時の青春を取り戻したい主人公を中心にそれぞれの想いや事情を秘めています。

これが軸になっていくんですが、

 

 

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劇団が空中分解して結局公演は中止となった挙句

主人公とヒロインが最後キスして終わりという拍子抜けもいいとこ。

 

役者あるあるな要素が盛り沢山なのでそこの感情移入や面白さはありましたし、

作品自体を後味の悪い作品という印象で収めるなら全然いいんですが、

最後のヒロインのキスが全てを台無しにしている気がします。

あそこだけ妙に安っぽい2次元ギャルゲーみたいに感じました。

 

大体妊娠までしていたヒロインがあそこで主人公にキスする理由がわからないです。

(作り手の意図なんかはわかりますが)

僕はヒロインが妊娠したという発言は途中まで嘘だと思ってたんですが、

最後一人になった主人公に救いを与えるとか、当時の主人公との関係性との決別とか

色々な意味を考えましたけど、

そうならそうでヒロインの意志のブレっぷりも気になりますし、

何にしても作り手が女性に幻想見すぎです。

 

 

大体主人公がそこまで魅力のあるキャラに見えませんでした。

主人公なんて存在は作品の構成上一番感情移入しやすい筈なのに

常に物事どこかしら他人事で自ら何かをする訳でもない。

そもそもの覇気もなく与えられたチャンスをチャンスと気付いてもない。

した事と言えばヒロインに対してタイミングの外した突然の告白。

何一つ感情移入出来なかったです。

そんな彼に最後ヒロインがキスする訳ですから

本編の感想としても「は?」という部分が強くなってしまいました。

 

 

他のキャラクターもそれぞれに事情を抱えていて

事情を抱えている同士の意見のぶつかり合いをするのであれば全然良かったんですが、

実際は発言力を持つ男以外は裏でグジグジ言うだけで物事を進展させようとせず、

発言力の強いその男がいなくなっただけで誰も事態を改善しようとせず皆人任せ。

生活費の工面の辛さや実家との関係性、就職するという選択肢等、

それぞれ持っている葛藤材料が何一つ物語に影響してこなかったのは拍子抜けでした。

中でも僕がこいついい奴だなぁと思って途中まで見ていた会計担当の女は失踪した挙句

「皆大好きだにゃ」とかTwitterで呟く始末。

中学生かよ。

 

皆30前後の大人という設定の筈なのに当時のまま誰も大人になっていない。

逆に歳を重ねてる分タチが悪くなっているように感じました。

 

 

 

なお、実際に公演予定だった題材は劇中劇として本編にて同時進行していくんですが、

肝心の中身が前述した内容だった為に全く頭に入ってこず、

それぞれのキャラクターが言いたかった事もボヤケ気味で

全場面あまり印象に残っていません。

ただ、本作は映像作品なんですが、

このシーンは実際の舞台を見ているようで手法自体は面白かったです。

 

 

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まとめます。

 

青春に取り残されたまま大人になってしまった若者達と言えば聞こえはいいですが、

見た後は妙に胸にムカムカした感情が残りました。

途中までは役者あるあるな感じやそれぞれのキャラが持つ事情なんかが見えて

それらがどういった感じで物語に影響してくるのかと思ってたら前述の通りでした。

 

 

 

正直、青春のもつ儚さとか当時に戻れない切なさなんかも

要素としてあるっちゃあるんですが、

それらを上回るヘイト要素の為、純粋にそれらを感じ取る事が出来ませんでした。

 

 

この感想を書く為に本編を複数回繰り返し視聴したり

メイキングやインタビューを繰り返し見返そうとしたんですが、

本作ではそれすらする意欲が湧いてきませんでした。

キャラクターの名前すら誰一人出ていないのはそれが理由です。

 

 

とはいえ、世間の評価は僕と真逆で絶賛してる人が多いので

僕の感性がおかしかったり捉え方が捻じくれている可能性大なので

興味を持った人はあまり気にせず視聴してみてほしいですね。

 

 

個人的オススメシーンはヒロインへの告白シーン。

分岐していく道にそれぞれが歩いていく場面の画の撮り方が凝っていました。